次期バージョン、WooCommerce2.7のお話

次期バージョン、WooCommerce2.7のお話

この記事はWooCommerce Advent Calendar 2016の15日目の記事です。

ふう。先週、ちょっと某所のメールアドレス乗っ取り事件など予定外の仕事が急遽入ったりして、仕事が詰まってしまって、大変でした。

さてさて、来年2月(多分下旬)に公開予定の WooCommerce 2.7 の最新情報をお送りします。

β版が2016年12月15日にリリースされたので詳細はこちらのブログで公開しておりますので、御確認ください。

WooCommerce 2.7 β1 バージョン公開

さてさて、今回のアップデートは結構トラブルが発生する可能性があります。特にテーマやプラグインに起因する障害は前回の2.6以上に多い可能性があります。

まずは、CRUD関数への移行に伴うテンプレートの変更は大きいです。正直、ズレは怒らないかもしれませんが、以前のままですと表示速度の改善が見られない可能性などがあります。

特に変わるのが、商品ページの画像表示。今まではテーマなどで変更されていた画像ギャラリーの色々な見え方が標準で対応出来るようになりました。ズームとか色々出来るようになったので、素敵なのですが、過去のテーマを使っているとズレることもあるかもです。あまりないと思いますが、javascriptの競合なども可能性としてはあります。

詳しい部分は上記の記事を見てもらえたら分かるかと思いますが、プラグイン等が問題を起こす可能性がありますので、各バージョン対応状況などを把握した上でアップデートする必要があります。

βバージョンが公開されましたので、保守運営をされている方は早めに動作確認を進めることをお勧めします。正直β2ぐらいからでいいとは思いますが。

ちなみに、今度のコードネームがBionic Butterflyというのですが、ロボット蝶?とでも約したら良いのでしょうか?はじめて、昆虫というか虫のマスコットが表れそうです。

マスコットのデザインも結構楽しみな感じです。

あと、色々な所で公開されている情報から、Apple Payの決済プラグインが開発を開始したそうです。また、Salesforceと連携するプラグインも開発が開始されています。

世界的な広がりはまだまだ進めていくような感じですね。

WooCommerce にも最適な KUSANAGI の訳 〜 WooCommerceの開発者とECサイト運営者の視点

WooCommerce にも最適な KUSANAGI の訳 〜 WooCommerceの開発者とECサイト運営者の視点

どうも、 WooCommerce をいじり倒している田中です。

この記事はKUSANAGI Advent Calendar 2016 16日目のエントリーです。

他の皆さまが技術的なKUSANAGI が早いよ〜!と言う事を書かれているので、筆休めといいますか、「技術のこと分からんけど、KUSANAGI ってどういう場合に最適なの?」と言う事を、運営といいますか、経営などの視点から出来るだけ分かりやすく書いてみようと思います。

さてさて、「KUSANAGI = PHPのCMS系などが爆速になる」というイメージを多くの方がお持ちかと思います。はい。その通りです。ですが、他の選択肢がないの?と言いますと、それはもちろんあります。ですので、ネコも杓子もKUSANAGI が良いとはならないと思います。ですが、以下の2点で考える時には良いのではないかなと。

  1. サーバー構築及び運営費用をあまり出せない
  2. サーバー会社を限定できない

サーバー構築及び運営費用をあまり出せない

まず、爆速のサーバー環境にしたい場合に多いのが、そのサイト及びサービス独自にサーバー技術者などが付いて、独自にサーバーをカスタマイズしていくというパターンです。
それ以外にAWSなどに多いのですが、KUSANAGI のようなパッケージがあり、それを導入するというパターンです。
上記の2点は簡単に言うと、メリットとしては自由に色々とやることが出来ますが、デメリットは費用です。技術者を雇ったら人件費が掛かりますし、パッケージ使用料がかかるパッケージが多いです。(※もちろん、パッケージ費用のかからないものもあります。)

ということで、お金が湯水のようにあって、ガンガンやるんだ!という方々にはKUSANAGIは一つの選択肢でしかありません。
ですが、初期導入やスタートアップ、もしくはアーリーステージのビジネスをされている所では、サーバー運用費がそこまで出せないのは現実問題としてあります。そういう方々には運用・サーバー構築作業を含めコストメリットはかなりあるかと思います。また、適切なクラウドサーバーを選べばスケールアップもサーバーを変えること無く出来ますし、儲かったらKUSANAGI を開発しているプライム・ストラテジー様に直接サーバーの保守などのお手伝いしてもらうことも出来ます。

「KUSANAGIフルマネージドサービス」

サーバー会社を選択したい

また、大手企業様では、色々な政治的な関係で使えるサーバーが制限と言うか限定されることがあります。「当社はMSと取引が多いので、Azureを使いたい」とか、「IBMでサーバー契約しているからIBMでの契約をしたい」とか「GMOとの取引が多いからGMO系のサーバーが良い」などなど、良い悪いは別として、そういう事が日本の大企業や中規模の企業ではよくあるのですが、KUSANAGI は多数のプラットフォームに対応しているので、融通が非常に効きます。

KUSANAGIがご利用いただけるパブリッククラウド

 個人的な意見としては、クラウドサーバー系で技術などにおいて AWS がやはり一歩先を行っていると思っておりますが、現実問題としてこういうことがあるので、KUSANAGI は様々な企業内で提案しやすいサービスだと思います。(ちなみに、KUSANAGI は AWS でも使えます。)

と、ここまでが経営者的に視点での、KUSANAGI が良いんじゃないかなと思われる点です。書いています通り、上記のような条件の時に良いだろうということで、そんな条件が無ければKUSANAGI を選択肢の一つとして考えれば良いと思います。サービスにはそれぞれにメリット・デメリットがありますので。

次からは、ECサイトを運営する立場といいますか、私の本業というか WooCommerce に絡むKUSANAGI が良いんじゃない?という部分を書きたいと思います。

  1. ECサイトはキャッシュ処理でページ表示速度を上げたくない
  2. アクセス数よりもセッションやクエリー処理が気になるECサイト
  3. 手動でもスケール(メモリなどの増減)が出来ればとりあえず大丈夫かな?

ECサイトはキャッシュ処理でページ表示速度を上げたくない

ECサイトの場合、急な商品価格の変更や売れ筋商品ランキングなどリアルタイムに変更してそれを表示したいという必要があります。その時にキャッシュ処理がされていて、更新がされないというような事が起こると非常に困ります。ですので、キャッシュ処理をしなくても十分早く表示できるサーバーのほうが良いのです。
WordPressのキャッシュプラグインの中には、ページが更新されたらキャッシュを削除する処理などがされていることが増えてきて、価格変更などには更新作業をするので問題ない場合もありますが、商品ページで在庫を表示する場合やウィジェット的な部分などで商品ランキングなどを行うと、やはり全体としてキャッシュ無しで動かせた方が良いのです。
また、買い物カゴ(カート)処理や決済処理のページはキャッシュ化するとそもそも問題が発生するページがありますので、キャッシュ無しで早いというのは魅力的な部分なのです。
もちろん、KUSANAGI の機能の中にキャッシュ処理があります。ですが、そもそもの開発の経緯の中でキャッシュ処理をしなくても早く動かせる仕組みがなされています。これは、意外とECにおいては重要です。

ただ、もちろん商品ページの表示速度はECにおいては死活問題です。商品ページを表示するのに時間がかかる場合、商品購入の意志が弱くなるということは経験的にも、研究結果としても証明されていますので、商品ページの表示スピードは大事です。それにおいて、KUSANAGI のキャッシュ無しでの処理能力は十分だと思います。商品ページのコンテンツ内容にも寄りますが。

アクセス数よりもセッションやクエリー処理が気になるECサイト

そもそも、ECサイトはコンテンツサイトと比べてアクセス数が少なくても収益化が出来ます。

コンテンツサイトはPVを多数稼いで、その上に広告を表示したりアフェリエイトリンクを表示させることによって収益を出しています。ですので、広告クリック率が2%でワンクリックの収益が10円だったとした場合、10万円稼ぐためには50万PVが必要となります。
計算式:100,000円(売上)÷10円(ワンクリック)÷2% = 500,000(PV)

それに対してECサイトの場合は、平均顧客単価が6,000円で粗利率が40%で購入へのコンバージョン率が1%で平均閲覧PVが7PVだったとした場合は、約3万PVで大丈夫なのです。
計算式:100,000円 (粗利益)÷(6,000円×0.4)÷ 1% × 7PV = 29,166…..(PV)

あくまで、この数値はザックリとした一般的な数値を想定したものです。コンテンツサイトの状況や、ECサイトの取扱商品などによって大きく変わるのですが、一般的な感覚では大きなズレはないと思います。ということは、ECサイトの場合はアクセス数に耐えうるサイトよりも、カート処理が同時に沢山できるサイトが非常に大事な要素になります。そういう点でもKUSANAGI は十分な処理能力を持っています。

手動でもスケール(メモリなどの増減)が出来ればとりあえず大丈夫かな?

これは、アクセスの集中という問題です。ECサイトである話なのですが、福袋やセールのシーズンにはアクセスが集中してサーバーがダウンする事があります。ただ、常にアクセスを集中するかもしれない状態に備えていてはサーバーの運用コストが高くなってしまいます。ですので、売上が上がる時期だけサーバースペックを上げることが出来るサーバーであれば、サーバーの移行などをしなくてもスムーズにサイト運営することが出来ますので、メモリなどを増減できるパブリッククラウド系のサーバーを選べば非常に便利です。
もちろん、アクセス数などを判別して自動的にスペックを増減できるシステムも便利は便利ですが、運営者がサイト状況を把握しながらすれば、良いという点ではとりあえず増減処理がリアルタイムに出来ればそれでいいかな?と思います。

単純なアクセス集中シーズンに限らず、ECサイトというのはリピータ客を囲い込み売上を上げていく形を目指すことが多いので、中長期的にもサーバースペックを上げていくことが多いです。この場合もクラウド上でメモリなどをアップグレードしていくことが出来れば、サーバーの移転コスト等を考える必要がなくなります。

最後にECは継続運用できるシステムや環境が必要

そして、最後にKUSANAGIが EC サイトにとって良いと思われる理由の一つは、KUSANAGIはオープンソースライセンスです。ちょっと不謹慎な事を言いますが、万が一プライム・ストラテジー様が買収されたり方向転換をされたとしても、ユーザーが多ければオープンソースライセンスは多くのコントリビューターによって、大抵生き残ります。現在、ユーザーが増えている現状のKUSANAGIを見る限り、サービスの継続性はかなり高いのではないかと思います。

また、同様の理由で世界の30%のシェアのあるWordPress上で動き、ECサイトの30% を占め、Automattic が運営している WooCommerce は継続性の可能性が非常に高いので、是非ともECサイトを検討される場合は、WooCommerce 及び KUSANAGI のセットをご検討ください。

ちなみに、KUSANAGIとWooCommerceの関係は良いですよという記事はこちらを参考に。

KUSANAGIでWooCommerceを使ってみよう!

と自分の関連するサービスを結びつけて、お後がよろしいようで。爆

最後に:私の経験上、サーバーやサービスは一概にこれが良いということは無いです。サイト及びサービス運営者の状況や条件・環境によって変わりますので、あくまで参考意見としてこの記事を御覧ください。

WooCommerce って何?基本中の基本の話。

WooCommerce って何?基本中の基本の話。

最近、ぱったりとブログを更新しておりませんでしたが、Advent Calendarと言うものがありまして、WooCommerce Advent Calendar 2016も作って頂いたので、でははじめの一歩ということで、私が書くことに致しました。

えっと、まだまだ空きがあるので、WooCommerceを使ったことのある方は是非参加してみてください。否定的な意見でも大歓迎です。皆さんのご意見を聞いてみたいという感じです。

まずは、WooCommerce の基本ですね。WordPress 上で動く EC プラグインです。今、世界で一番使われている EC システムになります。WordPressとほぼ同じく、世界のECサイトの30%がWooCommerce で動いているという状態です。

ですので、基本の基本ですが、WordPressが動かないとWooCommerceは動きません。また、WooCommerceはECの基本部分だけを持っているので、ECとして凝ったこと、例えばポイント機能などは拡張プラグインとしてWooCommerceで使えるプラグインを利用して、機能を増やしていくという形です。これは、WooCommerceの基本のキホンです。

さてさて、今日は私の知る限りの WooCommerce の日本対応の歴史といいますか、そういう話と今の日本や世界での WooCommerce の状況を書かせて頂ければと思います。

そうですね、私が初めて WooCommerce を知ったのが、2012年の冬だったと思います。確か、11月とか12月とか。
その当時は、EC システムの EC cube や Zen Cart、CS cart 等をメインカスタマイズのお仕事などをしておりまして、コンテンツは WordPress か MT でみたいな感じだったんですよね。MTよりも個人的にWordPressのコードのほうが好みだったので、WordPressメインで、ECに関しては、やはりEC cubeの需要が多かったので、EC cubeのカスタマイズをメインに、個人的に好きなCS Cartを色々といじっていたという感じでした。Magentoも日本では出始めてちょろっと触っていた感じです。
そんな時にふと「WordPressでECサイトって出来ないんですか?」と質問されたんです。最初は「いやいや、出来ないでしょう。テーブル構成とか難しいし。。。いや、待てよ、metaがあるし、自由度高いから出来なくもないか。」と考えていて WordPress.org で検索して出てきたので、 WooCommerce だったんです。
実は、私が検索した時は WP-eCommerce と WooCommerce がある程度のダウンロード数を誇っていたので、まずはこの二つのコードなどを見てみました。個人的にhookが明らかに多かったのが WooCommerce だったのと、テーマを基本作っていたっぽい WooThemes という会社の開発だったので、今からの EC はコンテンツやデザイン、ひいては UI や UX がメインになると思っていたので、これは伸びるのではないかと思って、開発者の一人の Mike にメールして、「2.1から国際化対応をしっかりするとRoadmapに書いているから日本語化の部分の手伝いをしていいかな?」と書いたら、「いいよいいよ~」てな感じで Mike Jolley から返事が来まして、「じゃあ、やってみるね」と言って、すこ~しずつ、翻訳を進めるとともに、日本独自の住所の表示順番なども含めてコアとプラグインとの両方で協議しながら、進めていき、ほとんどの部分はプラグインで追加することになり、プラグインが追加しやすいようにhookを準備したり、要素を増やしたりなどを行いました。

んで、WordCampSF 2013に参加したんです。娘連れて、サンフランシスコ行って、娘はバス観光でヨセミテ国立公園などに行かせて、私はWordCampに参加する的な。で、衝撃でしたね。自動セキュリティーパッチのアップデート機能を付けると宣言して、APIを増やしていき、BlogやCMSの観念から開放されたソフトウェアにすると Matt が言っておりまして。んで、お昼ごはんを食べた後にMattが一人で居るのを発見して、いつもの下手くそ英語で話しかけて、ECプラグインなどはどう考えているのか?と聞いたら、「もちろん、中核のシステムとして動いてくれたら良いと思っている」という言葉をもらって、「よっしゃ!WooCommerceの日本対応を今進めているからオイラは頑張るよ!」と伝えて、握手して写真撮ってミーハーに帰ったという。
ちなみにその時に「Naokoって知っているか?日本でWordPressを頑張ってくれているんだよ」と言われたのですが、その当時私はTokyoのコミュニティーには全然顔を出していなかったので、「ん?誰?」と言う感じだったのは、ナ・イ・ショです。

そして、2.1をリリースしたのが2014年2月頃だったと思います。

それから少し遅れること4月頃に WooCommerce for Japan のプラグインを出した感じです。

そして、7月に複数の日本対応の決済プラグインを作成して、 WordPress.org で配布して10月のWordCampTokyo2014 に自腹で WooCommerce のブースを出して、復旧に努めた感じですね。確か、この時 WooCommerce for Japan のダウンロード数は100ぐらいだったかと。

そんで、初のWooConf をサンフランシスコでやるということで、日本翻訳者として参加せねばと、頑張って参加したんですね。まあ、小・中学校の同級生に会いに行きたかったというのもあったりするんですけどね。

ここまでは、ほぼ自腹。1円も儲けられなかったんすよね。マジで。

この時期までは WordPress のテーマやカスタマイズの仕事をしたり、EC cube や CS-Cart のカスタマイズの仕事をしつつやっていたんですよ。

まあ、オープンソースだし、GPLだし、まあ良いかと思いながらやっていた所に、Automatticに買収されるというビッグウェーブが2015年の5月に!

それからは、あれよあれよと、 WooCommerce にほぼ絞り込んでのお仕事が出来るようになったと。まあ、フルボディー3Dスキャナのビジネスもやっているので、こちらの仕事もしていますが、全然先行投資中なので、ほぼ無給でして、今は WooCommerce で生活が出来ている感じです。

今年は3Dの仕事などもあったので、2回目のWooConfはオンラインでの参加になりましたが、色々なdeveloperとお友達になれて、WooCommerce を盛り上げていきたいなと。世界的にも日本的にも。

WooCommerceをキーにして、日本のサービスを世界規模にスケールすることなどを考えて今も進めておりますが、ちょっと多くの方に納期などでご迷惑をおかけしているのですが、頑張ってやらないといけないなと思いながら11月末に39度の熱がある状態でこのブログを書いているのは、ナ・イ・ショです。笑

ちなみに今は、 WooCommerce for Japanのアクティブインストール数があと少しで2,000になります。今年のクリスマスプレゼントに2,000アクティブインストールになれば良いなと、こっそり思っている明石鳥羽のPTA会長兼まちづくり協議会副会長でした。

それでは、明日はなんと!あの!WordPressセミナートップ講師であり、複数の著書を書いている星野さんが書いてくれるそうです!星野さんは先日WooCommerceの販売サイトを構築されたので、構築した際の色々な話が聞けるのではないかと?あれ?サイトはどこだ?分からない。爆

乞うご期待!では!